豊かな海を取り戻すために

日本の豊かな海を取り戻すためには、私たちはどのような環境を守り、何を再生していくべきなのでしょうか。私たち海洋研究グループは、人による流域の利用や暮らしによって最も影響を受けている沿岸域の生態系に着目します。沿岸域は、私たちの貴重な水産資源を育むだけでなく、生物の多様性を保ち、それを支える藻場などの貴重な環境をつくっているため、森里海連環の影響を強く受けています。「森里」と同じ32河川を対象とし、沿岸域生態系における健全性の指標となる漁業生産・生物生産力・生物多様性・環境などのデータを収集統合することで、森里海連環データベースの充実とシミュレーションモデルの構築を行います。

こんな研究をしています

私たちのグループでは、環境DNA調査を行っています。環境DNAとは、環境中に含まれる生物由来のDNAのことをいいます。今年度は、東日本各地の15河川に出向き、環境調査と採水を行っています。また、函館湾に注ぐ河川の河口から沖合2kmまでに定点を設け、毎月調査・採水を行っています。得られたサンプルについてメタバーコーディング解析を行い、各河川の生物多様性を調べています。東京や大阪のような大都市を流れる河川と北海道の自然状態に近い河川では環境が大きく異なるので、生息している魚種や種数も異なるのではないかと予想しています。

担当研究者

私たちのグループでは、32河川の環境DNA調査、由良川河口・丹後海における環境DNA定期調査、32河川河口域漁獲量統計調査、森里海連環の観点からみた両側回遊魚であるスズキの生態特性の解明を目指しています。特に環境DNA分析による32河口域の魚類相データの解析、河口域魚類相と陸域の構造及び人による利用実態との関係の解明を行います。また、本事業における集中調査フィールドである由良川流域・丹後海で実施される他チームの調査、高大連携・地域連携等のサポートを行います。

私たちのグループでは、河口域の生産性や生物多様性に影響する物理的・化学的要因に関するデータを、文献調査や現地観測により整備します。具体的には、水圏生物の生理状態を悪化させることによって生物多様性に影響を及ぼす貧酸素化に着目し、その指標となる底層溶存酸素濃度を中心にデータの収集を進めています。海のデータ、とりわけ中層や底層のデータは、陸のデータに比べて得にくい場合が多いため、数値解析的なアプローチによる補間等も行ないます。

我々のグループでは、沿岸域の環境生態指標となりうるクロロフィルa濃度や沈水植物の分布状況を、人工衛星データとフィールド調査による反射スペクトル測定結果とを関連させ、新しいリモートセンシング・モニタリング技術の開発をすすめています。また同時に、陸域海洋物質循環について、水文モデルと海洋モデルの融合による数値計算とリモートセンシング結果を駆使した解析を行い、陸域からの物質が沿岸域を通じて海洋に与える影響の定量的・定性的評価を進めています。

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